クリノガウディー降着の件
ネットを見ていると、先日の高松宮記念での、クリノガウディー号の斜行による進路妨害で、1位入線4着降着になったこと、及び、一番の被害を受けたダイアトニックが4位入線3着繰上になったこと、そして被害を受けてないのに棚ぼたで順位が繰り上がったグランアレグリアに関して、納得がいかないというような意見が散見されます。
これらはルールをちゃんと知らないから言ってるだけのようで、納得いかなくてもそういうルールだからとしか言えないとこですが、なにがどうなってるか見ていきましょう。
まずは既知の通り、直線半ばで、クリノガウディーは左に大きく斜行し、ダイアトニックは、クリノガウディーとモズスーパーフレアに挟まれるようになってブレーキがかかりました。その際、モズスーパーフレアも少し影響を受け、左に押されるような感じでした。
その後、ブレーキがかかって体勢不利になったダイアトニックは、再び脚を伸ばし、ゴール入線時は、僅差の4着でした。
不利を受けながらもその後伸びて僅差でゴールしたことで、
「不利がなければ、被害馬は加害馬に先着できた」
と認められたので、クリノガウディーはダイアトニックのひとつ後ろの順位で確定となり、入線順、
1 クリノガウディー
2 モズスーパーフレア
3 グランアレグリア
4 ダイアトニック
が、確定着順では、
1着 モズスーパーフレア
2着 グランアレグリア
3着 ダイアトニック
4着 クリノガウディー
となりました。
そういうルールだからそうなったんですが、しかし、改めて、降着のルールの文言を見てみると、納得がいかないと思ったり、今まで勘違いをしていた、という意見もわかります。
まず、
「不利がなければ被害馬は加害馬に先着していた」
という文章ですが、
「その理屈で言うなら、加害馬を降着するのではなく、被害馬を加害馬の前に繰り上げるべきではないのか」
との反論は、おかしくないように思えます。
不利がなければ先着できたとは、不利があったから先着できなかったということ。不利を与えた加害馬が1位入線しているのなら、不利がなければ先着できたのだから、被害馬を加害馬の前の着順にするべき。
以上に矛盾はないですね。だから、まさしくそのように勘違いしていた人もいたようです。
さらに、このルールだと、被害を受けてなくても先着できなかった、事象に関係ない馬が棚ぼたで上の着順になってしまいます。グランアレグリアは不利がなくてもクリノガウディーには勝てなかったのに、クリノガウディーより上の着順になってしまうのは、降着ルールの文言からすると、矛盾しています。
矛盾がないルールのほうがよいのに、何故こうなってるのでしょう?
過去にルール変更がありました
それは、2013年だったでしょうか、国際基準に合わせるとして、降着ルールの変更が行われました。要は、そのルールがそうなっているからです。
では、ルール変更前は?
加害馬が被害馬のひとつ後ろに降着する、という点では同じですが、降着になる場合のルールは、
「走行妨害がなければ被害馬は加害馬に先着できた」
とかいう、それ確かな根拠あんの? と言いたくなるものではなく、単に、
「走行妨害によって、競走に重大な影響を及ぼした」
と認められた場合です。新ルールと違って、走行妨害があった後に、そこから盛り返してこなくても、妨害の度合いがでかいと認められたら、降着となってたわけです。
確か、アメリカなんかはまだ、日本でいう旧ルールを採用してたと思います。去年のケンタッキーダービーでマキシマムセキュリティが降着になってましたね。
要するに、旧ルールのときは、走行妨害した馬は一律妨害された馬の後ろに降着! だったわけです。
それが新ルールになって、よくわからない文言を足したせいで、走行妨害されてないのに先着できなかった馬が繰上1着になってるけど、それっておかしくない? という事態になってしまいました。
そうは言っても、加害馬は被害馬の後ろに降着、というルールは昔から変わっていないので、それに慣れていれば、今回の高松宮記念だってそう違和感ないのですが、2013年以降に競馬はじめたような若い人は、どうなってんの? と思ったのかもしれないですね。